私は中小企業の社内システム部門にて数年間働いてきました。
今回はそこでの社内SEの仕事内容や実態を紹介したいと思います。
あくまでも自分がいる環境の話となります。会社によって仕事内容は変わってきます。
ネガティブなことも色々書いていますが、この記事の内容は一例として参考にしていただければと思います。社内SEを目指す方や転職したいと考えている方に役に立てば嬉しいです。
仕事内容
ITに関連していそうなものはだいたい任されます。
以下に具体的に挙げていきいます。
社内システムの開発・保守
業務で使用するソフトウェアの開発・保守を行います。
私のいるところでは、クライアントサーバーシステムがメインとなっています。
Windowsフォームアプリケーション(Visual Basic)かExcel VBAで開発することがほとんどです。
システムのリリース後も業務内容の変更に伴って改造を行ったり、ユーザーからの要望を受けてアップデートを重ねていきます。
ITインフラの運用・保守
社内システムはもちろんのこと、クライアントパソコン、サーバー、ネットワークの面倒を見ます。
オンプレミスでサーバー運用しているのでネットワークの障害も自社で行います。
業務に影響が出ないようにトラブルがあればすぐに対応しなければなりません。
IT資産管理
社内で使用するIT資産(パソコン、プリンター、ソフトウェアライセンスなど)の管理をします。
独自の資産管理システムで機器の所在や契約期間、IPアドレスなどを管理しているのですが、人事異動や席移動、時にはユーザー間での機器の移動が発生してしまうため、常に最新の状況を把握しておくのは難しいです。
パソコンの導入や入れ替えのときは、セットアップ(OSの設定、必要なソフトウェアのインストール)から据え付け作業まで行います。
開発ベンダーとのやりとり
社内システムの開発は自社だけでなく外注することもあります。
そのようなときは、社内現場とベンダーとの間に立って取りまとめを行います。
ヘルプデスク
社員からのIT関連の問い合わせ対応を行います。
社内システムについてだけではなく、ITに関連するものは何でも対応します。
- Officeソフトの使い方を教えてほしい
- パソコンにログインできない
- ネットワークに繋がらない
- パソコンの動作が重たい
- サーバー上のファイルを間違えて消したから復元してほしい
- システムで誤って作成したデータの修正・削除をしてほしい
など、いろいろあります。
必要とされるスキル
コミュニケーション能力
これが一番求められると思います。
プログラミング作業よりもむしろヘルプデスクの仕事の方が多いです。
ITリテラシーがあまり高くない人も多く存在します。
そういった人のサポートや要望の聞き取り、問題解決のための説明を行うためにはコミュニケーション能力が必要です。
業界や会社全体の業務知識
営業、技術、経理など各部門のシステムを作るので幅広い業務知識が必要です。
業務知識が無いとユーザーの求めるものがしっかり把握できなかったり、良いシステムの提案もできません。
私が思う社内SEの良いところ
社員がユーザーなので気が楽
顧客を相手にする訳ではないので正直なところ気持ちは楽です。
一般的なSEと比べると精神を病むということも少ないのではないかと思います。
システム開発の納期に厳しくない
納期に間に合わないことがあっても、よっぽど売上や業務に支障をきたすようなものでなければ許されることが多いです。
そもそも納期をしっかり決められることが少なく、システムを使い始めたい時期がぼんやり決められるパターンと、いつでも良いから暇を見つけて作ってほしいと言われるパターンが結構あります。
仕事とプライベートを両立できる
納期に追われることがないということからも分かりますが、深夜まで残業するとか休日出勤するということはほとんどありません。
社内ネットワークの設定のため、社員が出社していない休日に作業を行うということが稀にありますが、プライベートを犠牲にしてまで仕事をするという状況にはなりにくいです。
ユーザーとの距離が近い
作成したシステムに対してユーザーから直接意見をもらえる機会が多いです。
喜んでもらえればやりがいも感じられます。
厳しい意見をもらっても今後の成長につながります。
顧客相手ではこのような機会は少ないです。
色々なことを学べる
システム開発に加えてサーバーやネットワークの管理なども行うので色々な経験ができます。
私が思う社内SEの微妙なところ
IT関連の何でも屋、便利屋になる
自身で少し調べればわかるようなことでも何でも気軽に質問されたりします。席が近い人からは「ちょっと来てくれ」と度々声が掛かります。
他には、言い方は悪いですがくだらないことが原因のトラブル対応も多数あります。
例えば、
パソコンにログインできない → パスワードの打ち間違い
ネットワークに繋がらない → LANケーブルが刺さっていない
などです。
何かトラブルが発生したとき、ほとんど調査もせず電話してくる人が結構います。
ただの雑用というか便利屋扱いされているようで、何とも言えない気持ちになります。
仕事が評価されにくい
間接部門で縁の下の力持ちポジションなので評価されにくいです。
実際に「何をしているかわからない。ほとんど席に座っているだけで金をもらって楽な仕事だ。」などと言う人もいました。ITに疎い人ほど、こういった意見を持っているような気がします。
社内カーストでは低い位置になる
間接部門であり、サポート業務がメインなのでどうしても社内での立場が弱くなりがちです。
システム開発は現場主導が基本で、業務にシステムを合わせることがほとんどです。
明らかに業務を見直した方が良いと思われるケースでも、システムの方で対応させられることが多いです。
技術力が上がりにくい
古いシステムでも現在の環境で動作するならそのまま使用を続けるということがよくあり、未だにVB6で作られたシステムが現役だったりします。
会社にとって大きなメリットが無い限り、新しい技術を取り入れることは認められにくいです。特にITに詳しくない上層部の人を説得するのは大変です。
社内SEの人間の中にも新しいことを勉強すること自体嫌がる人はいます。仕事はシステム開発だけではないので仕方がありませんが。
最後に
社内SEは楽そうだからなってみたいと考える人は結構いると思います。
ストレスの多い一般的なIT業界にいるエンジニアの人は特にそう思うかもしれません。
しかし、”社内での立場が弱く意見が通らない”、”雑用扱いでやりがいを感じにくい”、”エンジニアとしての将来に対して不安を感じる”など別の悩みが出てきます。
個人的には、エンジニアとしてバリバリやりたい人やIT技術を駆使して会社の役に立ちたいと思う人には向いていない仕事だと思います。
逆にプライベートを充実させたいとか、雑用扱いされても「仕事だから」と割り切れる人にとっては良い仕事だと思います。
社内SEという仕事がどんなものか知りたいという人にとってこの記事が少しでも役に立てば嬉しいです。